ディスプレイ分配器
ディスプレイをディージーチェーン接続することが可能であることをご存知だろうか。
ディージーチェーン接続といえばSCSI機器の接続しか思いつかない方がほとんどだろう。
ハイエンドディスプレイにはBNCコネクタが装備されている。そして一部には終端抵抗の設定が可能なものがある。
家にあるEIZOのE57Tsにはそれがついている。
終端抵抗? それってターミネータ? そう。SCSIでおなじみのターミネータと同じ役割をする。
ターミネータは高周波伝送において・・・、って話をしだすと、インピーダンスだの誘電体だのラプラス変換だのって長くなるので省略。
いや、書くとボロが出そうなので書かない。
さて、実践である。その前にこのプロジェクトを発動したキッカケを。
家のVAIOにはDVD-ROMが増設してあって、DVD-VIDEOが見れるようにしてある。
しかし、VAIO用のテレビ付モニタは完全にテレビと化していて、VAIO本体には接続されていない。
VAIO本体にはE57Tsが繋がっているので、PCとしては使えるのだが、スピーカーを接続していない。
もちろん、スピーカーを繋ぎさえすればDVD-VIDEOを観賞できるのだが、PC用の千円クラスのものしかなく、
家にあるスピーカのうちで一番高音質(と思うもの)はVAIO付属のテレビだったりする。
テレビごと接続しなおせばいいのだが、それはそれですんごく面倒で、DVD-VIDEOを買っても
1ヶ月見ないとか、そんな症状に陥る。
その状況を打破するために、E57TsとVAIOのモニタ、どちらでも写るようにしたかったのが今回の動機である。
さて、実践。
モニタをディージーチェーン接続をするために必要な機材(配線)を考える。
まず、接続順だが、これは終端抵抗を切ることができるE57Tsが真ん中に来ることになる。
PCとVAIOのモニタは端っこだ。
真中に来るE57TsのBNCコネクタにはBNC分岐コネクタが必要になる。
PCとE57Tsは通常のBNCを用いたディスプレーケーブルを使う。
E57TsとVAIOのモニタの間も、BNCケーブルでよいだろう。しかし、VAIOのモニタはケーブル直付けタイプだ。
そこで、メスーメスの15pinジェンダーチェンジャーが必要になる。
さて、機材(配線)の入手。BNCケーブルはなぜか在庫で持っている。
あとはBNC分岐コネクタとメスメスチェンジャーだ。
ここで自作暦の長さが問われる。BNC分岐コネクタといえば10BASE2だ。
10BASE2なんか、最近の若いモンは見たことがないだろう。実のところ、自分も使ったことはない。
しかし、昔はネットワークカードといえば10BASE5と10BASE2と10BASE-Tのコンボタイプが主流で、
それを買うと10BASE2用のBNC分岐コネクタがオマケで付いてきた。
Windows95発売当時はHUBがまだ高価で、小規模ネットワークではHUBの不要な10BASE2が重宝がられていた。
昔話はさておき、自作暦の長いユーザの引出しの奥にはオマケで付いてきたものの、
10BASE-Tしか使ってないんで余ったBNC分岐コネクタが転がっているのではないだろうか。
今回のプロジェクトの目的のひとつに、余ったBNC分岐コネクタを再利用するというものもある。
早速、家の中を捜してみた。しかし、1個しか見つからなかった。
僕の記憶ではNE2000互換のカードを3枚ぐらいは持っていたはずだ。
やはり引越しのときに捨てたか、実家に置きっぱなしになっているのだろうか。
そこでカイシャの同僚にも声を掛けてみた。すると速攻で2個ゲットできた。
この同僚もコネクタが埋まっていないと気が済まない廃人野郎だ。
さて、残るは2つ・・・。そう、BNCコネクタは5個必要だ。RGBとHsync,Vsyncで5個。
他の同僚は「有るかも」といいつつ、持ってこない。
無念なまま20世紀が終わってしまった。
そして21世紀、正月。正月といえば帰省。これは元自室を捜索するチャンスだ。
オフクロに死ぬほど食わされたおせちを消化するべく自室を漁る。
すると消化するほど活動する前に、すんなり2個出てきた。プロジェクトの完成が近づいた。
プロジェクト発動
もともとの配線
BNC分岐コネクタを通してBNCケーブルを2本つけ、それをモニタにつける。
ここでBNCコネクタのロックを回すのに一苦労を五回。五苦労って感じだった。
BNCケーブルの反対側はジェンダーチェンジャーでつなぐ。これは千石にて500円で購入。
今回のプロジェクト唯一の新規購入品だ。
完成。
DVD-VIDEO再生。前世紀に買ってから初めて見た。
考察
さて、まず真っ先に疑問に思うのが、画質の劣化についてだろう。これは残念ながら劣化してしまった。
1024x768では問題ないが、1280x1024にするとにじみが出てくる。
でもそれは安物モニタを通常に使っている状態とほぼ変わらない。
実は家では切り替え機を使って4台のPCが1台のモニタを共有している。
なので、その切り替え機で2本のケーブルを使い、E57Ts と VAIOのテレビとの間も2本のケーブルを使っている。
計4本ものケーブルを使っているので多少の劣化は免れないだろう。
しかし、切り替え機がなく、終端となるモニタもケーブル直付けでなければ、ケーブルは2本で済む。
そうした接続形態であれば劣化も最小限に抑えられるのではないだろうか。
実は家にはもう一台、妻用マシンのモニタがあり、しかもケーブル直付けではない。
実験することは可能だが、原稿料がもらえるわけではないのでやらない。
次に気になるのが終端抵抗が正しく終端していない場合の話。
VAIOのモニタを付けない場合、片側の終端抵抗が無いことになる。この状態での写り具合はどうなるだろうか。
実際にやってみると、マウスカーソルにゴースト現象的な影ができて3つぐらいに見える。
E57Tsの終端抵抗をONにすると軽減されるが、それでも滲みが激しい。実用には堪えない。
この現象を見ると、終端処理の重要さが目に見えて理解できる。
その実験の意味でもリソースがある方はゼヒ一度お試しいただきたい。
通常はこうゆうのを使います。