フィットってどうよ

 知り合いにフィットについて質問された。 喜んで答えてあげよう。 ついでだから、これからフィットの購入を検討する人向けに、ここに公開する。

■概要

 フィットはホンダが作るスモールカーである。 欧州では狭い街路をチョコマカ走る小さな車が売れ売れで、フィットはその市場を意識して作られたクルマだ。 その市場はもちろん欧州メーカーの勢力が強いが、トヨタはヴィッツを投入して一定の成功を収めている。 ホンダも真似してその市場にフィットで殴り込みをかけた。 後発だけあって、相当気合が入っている。 気合が入りすぎてカーオブザイヤーなんか受賞してしまった。 そうゆう、ホンダが気合を入れて作ったクルマである。

■燃費

 カタログスペック(10・15モード)では 23.0km/l という驚異的な数値が出ている。 まあ、10・15モードという名のベンチマークテストは研究され尽くして、 ベンチ対策は相当な努力がなされているので、もはやカタログスペックは参考にもならない感じになってきた。 実際に走ると 15km/l ぐらいというのが一般的に報告されている燃費だ。 それでもリッターカークラスのATでは一番燃費が良いらしい。

参考: リッターカークラスATランキング ベスト20

自分が運転すると 12km/l ぐらいなのだが、都内をイライラしながら走ることが多いのでそんなもんでしょう。

■馬力

 1.3l にしては良く走る。 「1.3lにしては」という言い回しがミソで、まあはっきり言えば「可も無く不可も無く」という感じ。 街乗りでは十分な走りをするし、高速で100km/hで走っても全然頑張っている感じがしない。 実用的という意味ではこれ以上の馬力は必要ないと思うボクである。 刺激を求める若者には不満が残るかもしれないが、21世紀はそうゆう時代ではないと思う。 まあ、人によってはそもそも馬力なんか気にしないかもしれない。

■静寂性

 このクラスにしては静かだ。「このクラスにしては」という言い回しがミソで、以下略。

■室内空間

 室内空間の広さはフィットのセールスポイントのひとつである。 これはもう乗ってみれば納得。大人4人が無理せず乗れる広さだ。 ヴィッツも大人4人が無理せず乗れる広さだが、荷室が狭い。
 フィットはシートアレンジが最大の売りだと思う。 3アクションで後部座席を畳むとフラットなラゲッジスペースが! ってのはディーラーでご確認ください。 きっとフィットが欲しくなります。

■乗り心地

 良くも悪くも「ホンダらしい」という表現になる。走って楽しい硬めのセッティングである。 自分が運転すれば楽しいが、後ろに乗ると突き上げが激しくて不愉快と評判(?)だ。

 ここらへんはネット上でももっとも議論の多いところではないだろうか。 人によって後部座席もべつに快適だという人も居れば、運転してても酔うなど極端な意見もある。 諸説イロイロでてきて、ダンパーが安物でバラツキがあるとか、 硬いのは初期だけで、それ以降は柔らかめになっているなど聞くが、真偽は明らかでない。

 個人的な意見では「問題ない」と思う。運転するボクとしては非常に楽しいと思う。 普段、後部座席に妻と9ヶ月の幼女を乗せているが、彼女らも特に不満は無いようだ。 ただ、首都高に乗ったときは道路の繋ぎ目が不快だと言っていた。

 都内の道は舗装が良い。埼玉県の道とは明らかにメンテ具合が違う。 埼玉県民だった学生時代に友達が言っていた。

    「道が良くなったと思ったら東京都に入ってた」
    「道が悪くなったと思ったら埼玉県に入ってた」

 ボクもそう思う。水はけの良い高規格舗装の道も都内は異常に多い。 最近は都内を走ることが多いので、後部座席から苦情が出ることが少ないのかもしれない。

 まあ、人によって感覚は異なるので、試乗して確かめましょう。 タイヤも乗り心地を決定付ける重要な要素なので、試乗の際はホイールが14インチか15インチか確認しておきましょう。 もちろん15インチのほうが硬く感じます。

■CVT

 CVTが気持ちいい。 フツーのCVTでフル加速すると、 エンジン回転数が一定のまま機械的に加速するらしいのだが、 フィットは回転数が上がりながら加速する。 多分、回転数一定のほうが早く加速するのだろうが、 回転数が上がっていったほうが加速している感触がある分気持ちいい、すなわち加速がよいのかも。

 CVT特有のクセとして、クリープ現象の弱さが挙げられる。 CVTは本来クリープが無いところを、フィットではワザとクリープのようなものを発生させている。 が、あまりやるとアイドル燃費が悪くなるので控えめにしちゃっている。 坂道発進で下がってしまうのがチョットやだ、という意見がある。 でも、慣れれば問題ないと思う。そもそも坂道では下がるのが当たり前だ。

 クリープはどうでもいいが、低速時のエンブレの掛かり方が強めなのが気になる。 しかも 15km/h ぐらいからエンブレが掛からなくなるので、押し出される感触がある。 初めて乗る場合はちょっと焦るかもしれない。 また、渋滞時にエンブレが効くか効かないかぐらいの速度調節は 運転手とコンピュータの戦いになり、ギクシャクした動きになってしまう。

■電動パワステ

 電動パワステが軽いとか重いとか戻りが悪いとかボロクソ言われることがあるが、 単に、前のクルマとちょっと感覚が違うだけなんだと思う。 学生時代に人のクルマを借りまくっていたボクにはまったく違和感が無い。 フィットより軽い車もあったし、重いのも、戻りが悪いのもあった。

 一般論として、パワステは速度により操舵力が調節される。 低速時は軽く、高速時は重くする。 操舵力の調節方法にはエンジン回転数感応型と、車速感応型がある。 このクラスのパワステはエンジン回転数感応型が多い。 油圧を制御するのに、そのほうが安く作れるからと聞いたような気がする。 もちろん、車速感応のほうが自然な操舵力になる。 フィットはどっちなのか知らないが、電動なので車速感応でもコスト上昇要因にならないから車速感応だろう。 運転してても、エンジン回転感応的な感触を感じたことが無い。

 テメーそんなところでチンタラしてんなゴラァ!と加速しながらグリっと車線変更しようとしたときに エンジン回転感応型のパワステだと異常に重くなって焦ることがあるが、 フィットでそれを経験したことが無い。

■視界

 Aピラー(フロントガラス左右のピラー)が邪魔だ。 ボンネットのラインとAピラーのラインを真っ直ぐつなげるワンモーションフォルム というのが最近の流行らしく、フィットもそれである。 室内から見ると、Aピラーの根本が前進して、ダッシュボードの奥行きが広くなり、室内の広々感が増す。 視界的に言うと、Aピラーがより中央に近くなる。それで邪魔な感じになる。 近年の衝突安全対策により、ピラーが太くなっていることも視界に悪影響を与える。 最近の車はみんなこんなモンだ、と思うことにしましょう。

 ボンネットが見えないが、これも最近のクルマの傾向である。 フィットはボンネットが異常に短いので特に問題ないかも。 交差点内で赤になってああどうしよう、ギリギリまで詰めちゃえ! って詰めたのに、 そのギリギリなハズの車間を平気な顔して歩行者が2人ならんで歩いていたりすることがある。最近は無いけど。

■対抗車

 トヨタヴィッツが最大の敵だろう。が、戦いは一瞬で終わってフィットの圧勝と言っても過言ではない。 ヴィッツは一回り小さい。(その分小回りも効く。) フィットはデカくなり過ぎてスモールカーの枠からはみ出ているような感がある。 それでも同価格帯であるあたり、ホンダはズル勝ちといった感じだ。 クルマは小さいほうがいいじゃん、ヴィッツの方が欲しい! という人にとって、フィットは値引きの手段として非常に有効に使える。

 ヴィッツファミリーのファンカーゴも対抗車である。 ヤツは車高が高すぎることと、後席のシートアレンジが面倒臭いのが難点だ。 ファンカーゴを選ぶ場合、本当にその携帯空間を使うことがあるのかどうか考えてみることをオススメする。

 日産は新型マーチを発売する。新生日産、ルノー提携第一弾として世界の自動車業界が注目している。 気になる存在であるが情報を集めていないのでボクは良く知らない。 買い物をした後で出てくるものの調査は自粛している。 そうしないと必ず後悔してしまうことになっているからだ。 技術革新のスピードは衰えていない。

 マツダデミオとかダイハツストーリア(=トヨタデュエット)あたりも対抗だが、 比較して、「やっぱフィットっていいよね」と思わせるための雑魚として評価してあげよう。

■買い方

 今でも納車待ちは長い。ディーラーは客の注文を聞く前にバシバシ見込み発注をかける。 各ディーラーがバシバシ見込み発注した結果、今でも新規発注は半年待ちの状態らしい。 ということで、通常、見込み発注されたタイプの中から選ぶことになる。 条件が合えば即納可能なものもあるし、条件を緩めれば2ヶ月待ちとかもあるし、 どうやってもやっぱり半年待ちってこともあるらしい。

 ディーラーはプリモとクリオとベルノの3種類があるので、条件が合うのを求めて全部回ってみるのが正しい探し方らしい。 在庫を持たないディーラーは「どこいっても半年待ちですよ」というかもしれない。 しかし、わざわざそう言うという事は、自分のところ以外にも選択肢があるけどそっちに流れるなよと言っているようなものだ。

 ディーラーは地域ごとに独立しているので、他地域では納車可能なタイプが異なる。 地域の境界線は良く知らないが、都道府県ごとにあるような感じだろうか。 僕が買ったのはホンダプリモ東京中央とか言ってたような気がするんで、東京都にはもっとあるかも。 3種類と隣接地域数を掛算すると、結構な数のディーラーに行かなければならないことになる。 が、タイプを決めたら電話で在庫を確認すればいいんで、とりあえず近場で候補を絞ることから始めましょう。

 納期を急ぐと、オーディオ付きとオーディオレスを選べない場合がある。が、急いでいるなら選んでいるヒマは無い。 部品交換で後から変えられるので余計な出費を惜しまなければどっちでもいいのが本当のところだ。 オーディオ付きしか即納が無いのに、社外オーディオにしたい場合、外しちゃったオーディオはヤフオクで売れる。 逆に、オーディオレスを選び、純正にする場合は、純正オーディオをヤフオクで買うことが出来る。 さらに、オーディオレス用のパネルを売ることも出来る。 うまく行けば普通に買うよりもトクするかもしれない(?)

 オーディオの交換はディーラーでやってくれる。ヤフオクでの売買まではやってくれないけど。 ディーラーに頼む場合、工賃が取られるわけだが、その前の値引き交渉で頑張りすぎると工賃が高くなる可能性がある。 そこらへんのバランスを考えるのが彼等の仕事であることは覚えておきましょう。

■お値引き事情

 値引きは渋い。10万とか言う人もいるが、その場合、オプションてんこもりだろう。 ボクの感覚だと、オプションは半額になる。 で、実際にボクの場合はオプション半額、車両本体は値引きゼロである。 ぜんぜん粘ってないのでもうチョイ行けたかもと思うが思ったところで次に粘れるのは10年後なので 忘れることにしよう。 目標は本体3万引きでオプション半額と思うがどうだろうか。

 苦労して探した即納可能なクルマの場合は交渉が難しいかもしれない。 何しろ「いくらなら買うけど」と言って帰っちゃうと他人に取られるかも知れないのだ。

■オプション

 とりあえず言っておきたいオプションについて。

■サンルーフ
太陽屋根。
 オプション価格以上の下取り額アップが期待できる人気アイテムといわれているが、 そういう時代は終わっているかもしれない。 そもそも付けると車両重量が1000kgを超えてしまい、重量税もあがってしまう。 下取りアップ分よりも税金のほうが高くついてしまうだろう。 ちゃんと使ってやりたいが、今はまだ季節が悪いので全然開けてなくて、勿体無い感じ。 暖かくなったら全開にして爽快な気分で走りたいなぁ。

■フロアカーペット
床じゅうたん。
 スタンダードタイプを選んだら、マジックテープが付かないんでちょっと困った。 ごみ箱を固定したかった・・・。

■マッドガード
泥除け。
 ディーラーによっては必須オプションのように言うことがあるが、無くても走れる。 ボクは付けていない。
 黒しかないのでかっこ悪いんじゃないのか、塗装しちゃえ! という話も良く聞く。

■コーナーポール
へたくそ棒。
 ボクの場合、明らかに切り返し回数が少なくなる(笑)。 そのおかげで時間短縮に繋がるし、 タイヤの寿命も延びる。すなわち、環境にもやさしい(笑)。 電動を選んだらコインケースのところにスイッチが来た。 コインケースが使えないのがチョット難点。 まあ、買って付ければいいんですが。

■アームレストコンソール
肘掛と物入れ。
 収納が増える上に肘が掛けられる。当たり前か。満足度の高いアイテムである。 サイドブレーキが引きにくくなるという意見があるが、サイドターンでもしない限りは気にならないと思う。 ボクはサイドを小指と薬指で引いている。

■ドアバイザー
扉のひさし。
 個人的には必須アイテムだと思うが、付けない車が多い。 雨の日の換気に威力を発揮する。 タバコを吸わないので換気の必要もそうそうあるわけではないが、 雨の日に子供が車内で吐いて臭かったときは威力を発揮してくれた。

 タダでさえ視界をさえぎるAピラーをさらに太らせることが気に入らない人もいる。 ボクは曲がるときはフロントガラスから全部見えるように前傾姿勢にしちゃうヒトなので、そのことは気にならない。

 同価格で無限から変な形のが出ている。そっちは無限と聞いて喜ぶヒト向け。 あの変な形が機能的効果を発揮しているような感じはしない。視覚的効果はあるかもしれない。 ホンダアクセス品でも良かったなと思っているが、買い換えるほどの思いは無い。 タダで交換してくれる人が居たら、物々交換してもいいかも。


■他の情報ソース

 モノを買うときは雑誌かなんかで調べたりするボクであるが、意外と調べないヒトも多い。 ボクなんかは冷蔵庫を買うときに「月刊冷蔵庫」を探した。もちろんそんなものは無いが。 月刊洗濯機とか月刊電子レンジとか、なぜ無いんですか! 出版業界!! 月刊白物家電でいいから出せ!!!

 雑誌は新製品の特集をする。なので新製品以外の、今売っているものの比較をしようと思うと 実はあまり役に立たなかったりする。その点、インターネットなら以下略。

 最近、ボクは Yahoo! 好きで、何かを調べるときに Yahoo! 内のコンテンツを見ることがある。 検索で探すんじゃなくて、Yahoo! 内にあるコンテンツである。 軽い表示が魅力的。

 リクルートの ISIZE.com もオススメ。広告を情報に変える彼等が気合を入れて膨大な情報量を集約している。

 ホンダ自身で編集している雑誌風のコンテンツがある。 半分フィットに決めている状態なら、それだけ読んで本決まり状態にしたほうが迷う時間が省略できて良いと思う。
http://www.honda.co.jp/carmagazine/Fit/

 個人で何か言っているサイトはココも含めて数多くある。 フィットは検索しにくいキーワードなので探しにくいかもしれない。 リンクページのリンクをたどっていくのが正攻法だろうか。